続編ははずれが多いのですが、おもわず買ってしまいました。
大当たり!
ぐわわわ~~~~ん!
手が震えるほどの感動・・・。
つい心の中で叫んでしまいます。
星野さん、でていますよ。
こういう本を読んで星野監督との日々を思い出すのは、たぶん私だけでしょう。
近衛文麿といえば、来栖三郎家の隣。別荘も同じ軽井沢なので、かなり親しく家族ぐるみでの交際でした。
首相官邸の裏あたりにあった近衛の森と家、来栖家も空襲で全焼してしまいます。
その年の暮れに生まれたのが来栖扶沙子さん、後の星野仙一夫人。
来栖家は軽井沢の別荘を売り、戦後そこに土地を半分にわけて、アパートと家を建てます。
その後は改築を繰り返し、貸しビルに。
引退してNHK解説者になった星野氏は、そこの2階に個人事務所をもうけます。
なので、来栖大使直筆の書類はそこにはたくさん残されていました。
星野さん、NHKの「サンデースポーツ」のキャスターになるまでは、あまり忙しくなく、そんな書類を英訳させたり、週刊文春連載の「アドルフに告ぐ」を読んだりしていました。
アドルフに告ぐ コミック 全5巻 完結セット (手塚治虫漫画コミック 全集)
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 講談社
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吉田茂も来栖を「盟友」と呼び、首相になってからもここに意見うかがいに来ていたそうです。ところが、戦争中にかわした2人の手紙やメモは英文ばかり。憲兵から目をそらすためだったのでしょう。
この本は野村吉三郎のところで、たくさん来栖三郎がでてきます。
たしかに野村大使は海軍大将、ワシントンで外務省の人たちとはうまくいっていなかった。
ただ来栖さんはシカゴ総領事だったときから、武官でアメリカにきていた野村大使と親交があったのです。ちょうど野村大使はこの頃、海軍つながりでルーズベルトと知りあっています。
この本には来栖は日米交渉の適任者ではなかった、とあります。たしかに三国同盟に調印したのは来栖さん本人。アドルフ・ヒトラーと握手をかわします。
実はあの直後、来栖さんは怒りにまかせて、署名したペンをぽーんと投げ出しています。(来栖さんは怒りっぽかった)
撮影していたのはドイツの国営放送なので、この部分はカット!
アメリカから嫌われていることは来栖さん自身、承知しています。出発直前、そのことは外務大臣の東郷とも話しあっています。
重光さん、東郷さん、来栖さんもいる写真です。
ただ外務省三羽烏といえば、東郷、重光、来栖と言われた時代。
東郷は東条内閣の外務大臣で、開戦を回避するため必死でした。
重光葵はもともとは松岡洋祐シンパで、東郷とは1年前まで口きかない間柄。
松岡はすでに失脚。この頃から氷解しつつあったとはいえ、上海のテロにあった重光は義足だけで10キロの重さ。小さな飛行機を乗り継ぎ旅は無理な状態でした。
ちなみに、この上海のテロのとき、片目をなくしたのが野村大使でした。
また長くなるので、このへんにしておきます。
「アドルフに告ぐ」ではこの場面、野村大使と共に来栖さんが描かれています。
でも、あれはあくまでマンガ、事実をちょっと違うのです。
ともかく日米開戦の通達が遅れたのは外務省のせいではない、来栖さんはいろいろな人をかばって名前をあきらかにしなかったのです。来栖さん自身、東京裁判のキーナン判事には呼びだされていますからね。
この本は三島由紀夫の章も秀悦でした。
ばいなう。