モントリオール五輪がなぜ財政破綻したのか。
答えは簡単、支出が多すぎたのです。五輪の後、モントリオール市の固定資産税などが値上がり、赤字を清算するのに30年もかかってしまいました。
少し今の東京の状況に似ています。
招致の主役だったジャン・ドラポー市長は当初、「税金は投入せず、大会開催による収入でまかなえる」と公言していました。
ところが、建築おたくだったドラポー市長はメーンスタジアムと屋内競技場を含むオリンピック・パークと選手村の建設に、9憶8700万ドルも投入してしまいます。これは1964年の東京五輪の17倍にあたる建築費です。
市長から依頼されたフランス人の設計家は、予算についてはまったく制限をうけていませんでした。
開閉式の屋根をもつ野外スタジアムをあれこれ試み、なんとこれが本番のオリンピックに間にあわなかったのです。
途中で労働者たちのストライキがあり、人件費はかさみ、突貫工事になってしまいました。
さらに市長は選手村として、フランスで見てきたピラミッドのような形の建物を希望しました。これが21階建てで、900万ドルもかかったのです。
1972年のモントリオール五輪は、ルーマニアの白い妖精、ナディア・コマネチが女子体操で10点満点を連発しました。選手として麻生太郎元総理も出場しています。
その一方で、9憶9千万ドル(当時で約2900億円)の赤字をだし、モントリオール市がそのうちの2憶ドルを負担。残りは連邦政府の宝くじと、ケベック州のたばこ税が増税され、赤字が完済されたのは2006年11月でした。
90年代はモントリオール・エキスポズという、巨人入りしたクロマティも在籍した大リーグの球団があったので、筆者は何度オリンピック・スタジアムを訪れています。
第一公用語がフランス語なので、アナウンスもフランス語で、「エキスポズ・デ・モントリオール」のほうが先、後から英語でした。吉井理人投手も在籍したとき、「道路標識もフランス語なので、だいぶ覚えたで」と言っていました。
とても美しい街なのですが、野球はいつもがらがらでした。
人気スポーツはアイスホッケー。モントリオール・カナディアンズというNHLのチームもあります。
その後、野球のほうはワシントンに移転してしまいました。
話しを戻すと、モントリオール五輪は不運が重なりました。
オイルショックで物価は高騰。前回のミュンヘン大会でパレスチナゲリラのテロ。そのため危険物探知機や防犯カメラが導入され、経費がかさんだのです。
ところが、商業化という面では新しい試みが、次々と成功をおさめました。高い収入を得ています。
いちばんの収益はオリンピック宝くじで、2憶3500万ドル、二番目は記念硬貨と切手で1憶1599万ドル、3番目がテレビの放映料で3200万ドル。
その方もろもろをあわせて、入場料の2700万ドルをあげて、4億3000万ドル、当時の日本円で1259憶9000万円の収入をあげています。
モントリオール市長が変に歴史に残す建物にこだわらなかったら、市民たちは税金の値上がりに苦しまなくてすんだ可能性が高いのです。
たしかにミュンヘン五輪のテロが世界にあたえたショックは大きかった。1976年の開催地コロラド州のデンバーは、1972年11月に住民投票を行い、開催権を返上してしまいました。
これが戦後、最初で最後の五輪開催地返上です。開催4年前だったからできたこと。
残念なことに、東京五輪は来年開催とあっては、返上は現実的に不可能です。
入場料などの収入を不意にすることになるし、NBCテレビや個々のエージェントたちが損害賠償で訴えてきたら、契約をかわしているのだから、勝てません。
キャンセルしたら税金がまたつかわれるわけでしょう。私は都民でも実行委員でも招致委員会でもありません。なに八つ当たりしているの?
— Yoko Umeda⚾️勝利投手(昭和62年度文藝賞)Amazon電子化! (@yokoumeda) 2019年10月27日
返上するなら少なくとも4年前でなければ。今キャンセルなんて、子供がおもちゃをほおりだすようでチャイルディッシュ。私は東京開催にもともと反対だったけど、ああいう都知事を選んだのは都民。今となっては高いチケットをたくさん売って少しでも回収するしかないでしょう。 https://t.co/HK7CVxxwM9
— Yoko Umeda⚾️勝利投手(昭和62年度文藝賞)Amazon電子化! (@yokoumeda) 2019年10月27日
ラグビーはくみていませんが、台風の被害は被害として、にわかラグビーファンが夢中になろうと、悪いこととは思えません。国中が一億人ざんげ、喪に服したら復興が早く進むわけないでしょう。今から五輪をキャンセルして、あなたは何か責任を背負えるのですか?パソコンの前で文句を言うだけでしょう? https://t.co/BFYcQEbVzb
— Yoko Umeda⚾️勝利投手(昭和62年度文藝賞)Amazon電子化! (@yokoumeda) 2019年10月27日
2回も連続して東京開催に立候補したときから、私は反対でした。でも、東京都には選挙権がありません。
今ここで東京がキャンセルしたら、入場料はパーになるので、30年ではすまなくなるでしょう。
政治家やボランティアを叩き、東京五輪の失敗を願っている方たち、海外脱出でもしないと、赤字は自分たちに振りかえってくるんですよ。
今の日本には少しでも高くたくさんチケットを売るしか、選択枝がないと私は考えます。
繰り返しになりますが、モントリオール市はつい最近、2006年に完済しました。
ばいなう。