今でもときどきゴミハウスの夢をみて、うなされてしまいます。
はっきりいってシカゴの家はゴミハウスになったことありません。家の中はともかく、外は法律が許さないと思います。
芝生が15センチ以上のびると、市から罰金の警告状。玄関ドアにぺたっと赤い紙が貼られます。20ドルぐらい。
エンゼルスの長谷川滋利は玄関横のちょっとゴミの袋をおいていたら、すぐ100ドルの罰金がきたそうです。
うちは中流だけど、大リーガーたちは高級住宅地に住むので、罰金の相場も高いのでしょう。
美観を整えなければ、住んでいる場所の不動産価値が下がってしまうのだから、納得がいきます。 写真はシカゴの家です。
今、日本は高齢者がふえているせいか、ゴミハウスが増えました。(若者が住むゴミハウスは不思議とありません)
友だちの家もせっかく新築したのに、目の前がゴミハウスなので、あれ?と。
ゴミの山にこわれた傘が並んでつきささっていたりします。通行人がころんで目をついたらどうするのでしょう。ゴキブリやネズミも相当いるようです。
夫が工務店なのでリフォーム前、清掃業者を頼むことが何度もあります。
床がゴミでうまっていたら、フロアリングの工事もできません。
マンションの一室でも大変なのに、一戸建てがすべてゴミでうまっていると、費用だってかかります。業者のほうだって人件費かかるし、軽トラックでは足りません。
実は四国の夫の家は、今まで見たどこよりもすごいゴミハウスでした。
2階はともかく、糞尿の匂いが1階にはしみついていて、便壺にいる気分になるのでした。最初の2年はアパートも借りて、少しずつ片付けて生きました。
夫の話だと、もともと4人めの子供が生まれることになり、急きょ買った2年オチの中古物件。
建って2年なのにオーナーが2人、しかもほとんど住んでいないという、わけあり物件。新品同様。(友人の紹介だったそうですが、50万円の手数料をもって消息不明になったので、二度払いするはめに)
夫は借家住まいにピリオドを打ち、臨月の妻と子供3人と母親を連れて引っ越し。暮らしはじめると夫婦仲が悪くなり、何か憑いているだろうかと心配になったそうです。
なので、窓がなかった部屋に窓を作ったりしています。大工さんですから!
結局4人めの子供が2歳のとき、妻たちは子供を連れて近所の実家へ。生活費をおくりつづけていたら、2年目に調停裁判の通達がきたそうです。
その後は、4人の子供の養育費+学費+パソコン代や教習所代、求められるがままに払いつづけてきました。全員が成人した今も。
私と知り合うのは独身にもどって約10年後。母親と2人暮らしでした。母親以外の人間を家に入れたのははじめてだそうです。その言葉は本当だと思います。
何しろリビングと寝室一部屋以外は、天井までモノで埋まっていました。玄関ホールも引っ越しのダンボール箱が山積みのまま。
リビングも食卓の半分は裁縫道具やら、いろいろテンコもり。
お歳暮でいただく干支の瓦や、フェルトでケーキをつくるキットなど、いろいろなものが積んであり、倉庫みたい。
悪臭の原因は洗っていない食器と生ごみでしたと。
姑は人口肛門の中身を新聞紙にくるんで貯めこんでいたので、ドアをあけると臭気がうわっと家中に広がります。24時間テレビは大音響でつけっぱなし。お弁当の食べ残しも山積みになって、小さなハエがわんわん飛んでいます。(断っておきますが、人口肛門というのは本来そんなに匂うものではありません。中身を捨てず、新聞紙に来るんで、何年もためこんでしまうから、すごいことになるのです)
すぐにはここでは暮らせません。アパートを別に借りました。
次女は何度もシラミをうつされ、学校のほうでも問題になったのです。
夫はかなり神経質で、きれい好きなのです。が、仕事がいそがしすぎて家のことは姑に丸投げしていました。でも、姑は家事をやるタイプではなく、ゴミ箱もなく、生ごみもスーパー袋に入れて、床におくだけ。
なぜかピーター・ラビッドのゴミ箱が庭に投げ出されていました。それを拾って泥を洗い、今も使っています。
私と知り合ったとき、夫は人生そのものを立て直すつもりでいたようです。
とりあえず、1.2トンのトラックで二往復して、ごみを捨ててくれました。
その後、私がブルドーザーのごとく、トラックでものを捨てて行きましたが、もちろん反対はしません。普通の家っぽくなっていくのが、うれしかったようです。
今はアメリカでも大人気のコンマリこと、近藤真理絵さんの本にはずいぶん励まされたものです。寝る前はこんな本ばかり読んでいました。<了>
池田暁子さんの著作も。ただここは汚部屋というより、汚家でしたから。