スポーツライター梅田香子とMMカンパニー&CHICAGO DEFENDER JAPAN

梅田香子 contribute to MM JOURNAL

ぼこぼこ場外乱闘編

スポーツライター梅田香子の日常を日本語でメモ代わりに綴ったものです。

フィギュア・ペア大国ロシアの偉大なるコーチ タマラ・モスクヴィナ

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 今のロシアはフィギュアスケートにおいて、やはり最高水準にあるのかもしれません。
 選手たちはもちろん、最高の指導者たち、最高のスケート環境、最高のサポーターたち。

 もちろんロシアとてずっと恵まれた環境にあったわけではありません。ソ連が崩壊した後、それと 前も、配給もとだえ、店に行っても買うものがなく、亡命は後をたちませんでした。

 この本の冒頭はタマラがスケート学校をつくることになったいきさつから、はじまっています。

 アフリエイトも関係ないし(爆笑)、私はどういう方が書いた本かも知りません。でも、もうこの1冊は手が震えるほど、夢中になりました。貴重な写真もどっさり。もういい本を書いてくれて、ありがとう!という気持ちでいっぱいです。

 

 タマラが最初にビールマンスピンを披露したこと、ビールマンのコーチとの会話など、タマラの人柄とスケートへの深い愛情が伝わってきます。
 
 あとミーシンとペアを組んでいたなんて、知りませんでした。

 それとオレグ・ワルシコフの選手時代のエピソードとリアル近況も聞けて、うれしかったのです。

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 ちなみにオレグはパートナーのワロワとは後に離婚します。でも、亡命のときは助けていました。その後、ワロワは別な人と結婚してピッツバーグで暮らすのです。が、オレグとはよく一緒にコーチしていました。オレグとワロアの名前が入ったTシャツをタチアナ・トトマリニアはよく着ていましたから。タチアナヤグディンと結婚してから、あまり私は見ていないのですが、この本には写真がのっています。

 

 ちょうど荒川静香さんがタラソワの振付で行ったとき、ロシアのスケートリンクは音響設備
がこわれていたり、ボロボロな状態にあったそうです。

 その話を聞いて、なーるほど、それでアメリカに拠点を移しているのね・・・と当時は納得したものです。

 しばらくして、そんな話を中庭健介選手としていたら、「いや、それがロシアは今どんどん施設が新しくなって、すごいことになっているんですよ」とも。

 この本を読むと、すべて筋をとおった感じ。

 川口悠子さんが最後のほうで、私の恩人と紹介しているのが連盟の福留富枝さん。この方は川口選手のような特別な才能をもった選手だけではなく、私の娘みたいな末端の選手にとっても恩人です。
 日本のスケートコーチたちが仕事としてやっていけるようになったのは、ここ10年ほど。稲田悦子先生にしても、指導料とらずに教えてしまうことが多かったようです。私の母もその一人。
 日本のスケート界、ボランティア・コーチに支えられた期間も長かった。今もなおボランティア精神があるからこそ、イベントとしての試合が成立しています。

 残念ながらスケートの試合は、テレビ局やファンのためのイベントではなく、主役はあくまで選手たちなのです。それ以外は脇役のサポーターにすぎません。

 ロシアのサポーターたちは伝統的にそのことをよく知っているようです。それが教育であり、国としての体制であることが、この本を読むとよくわかります。